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「観る前に跳べ」自戒を歌詞に込めた1曲目から新たなスタートを切り出した東狂アルゴリズム、セカンドフルアルバムとなる『やぁ。凡人』ボーカル佐佐木氏によるアルバムレビュー前編

【観る前に跳べ】
「跳べ」の字を「翔べ」にしとけば良かったなぁ…と、今更後悔してます。
毎回アルバムの一曲目は1番大事な曲にしてます。曲を仕上げるのもアルバム収録曲の中で1番最後、レコーディング当日ギリギリまで足掻いてる。
普段からどの曲もアルバムの一曲目になるような曲を作らなきゃという意識で作っている。
それくらい僕にとって「アルバムの一曲目」って大事なんです。
で、アルバムの一曲目を飾れそうな曲が何曲か出来たところに、更にそれらの曲を超える曲を作らなきゃと自分を追い込んで、最後に「アルバムの一曲目」に取り掛かる訳です。
今回のアルバムは六人編成になって初めてのCDなので、一曲目で「こんなバンドになりました」というご挨拶がてら。フィルスペクターのウォールサウンド、大瀧詠一のナイアガラサウンドを経典としている私です。それらの足元にも及ばないですが、それらに向けての挑戦の曲でもありました。
上等なイヤフォンで聴いて貰えたら「あ…ピアノ、ギター、ベース。こんなアレンジをしてるんや」と新しい発見があると思います。
タイトルの「観る前に跳べ」は岡林信康の「見る前に飛べ」からの影響で、私の座右の銘です。歳を取れば取るほど挑戦する勇気も(環境も)無くなっていきますので、今一度、自分を戒める為の歌詞でこのアルバムはスタートします。
【宿命と戦え】
2023年の京都大作戦に出る事が決まった時、西院ガタカの山田君に「大作戦までに新曲発表しようよ」って言われたのがキッカケで作った曲。我々の十八番のエイトビートの曲!!…のはずなんですが、難産でした。十八番は十八番でも、今までさんざんエイトビートの曲を作ってきたから全部一緒に聴こえる。もういよいよネタ切れかも…
歌詞のテーマが良かったのでそれに救われた感は否めません。
歌詞さえ良ければなんとかなるんですね〜。とはいえ歌詞ももういよいよネタ切れですが。
2番の
「生きたい朝の向こうに
月より丸く
甘い生命線の匂いが聴こえる
先天性のレガシー
喝采が止まず
空中楼閣はき違え
最高濃度の明日が終わる」
なんのこっちゃ分からん歌詞ですよね。でも不思議とここが一番人気のある箇所。世の中は歌詞に意味なんて求めてないのかもしれない。歌謡曲のように響きさえ良ければそれで良いんでしょう。知らんけど。
【360°】
以前に「振り返るにはまだ早い」を作って味をしめてしまったせいか、スローテンポな曲をもっと作りたい、と思ったのがキッカケでした。
スローでシンガロングな曲がやりたくてデフレパードを参考にしました。これ作った頃はまだ4人編成。ライブではこの曲に限り俺もギター弾きながら歌ってた。
後に加入のハギーとヤスコのギターと鍵盤は後から足す形になった。今となってはこの2人の存在が無いとこの曲の良さは出ない。
とあるキッカケからこの曲はビバヤングの倉山さんと一緒に作ったのですが、この経験がウチにとって大きな転機となった。
「楽器が多い分、足し算引き算しなさい」「音と音がぶつかって喧嘩しないように」「もっと歌にも演奏にも緩急つけなさい」など、倉山さんから沢山助言を頂きました。ありきたりな助言なのかも知れません。
しかし、これまで人の言う事を聞き入れるような姿勢は一切持って無かった私でしたが、俺よりも何倍も音楽を知ってる倉山さんの言う事なら信じる事が出来た。
東狂アルゴリズムに可能性を感じ気にかけてくれたこのご恩。倉山さんにはバンドが売れて恩返しがしたい。
これ以降の曲作りに対する意識は大きく変わり、作曲時間に今までの3倍くらい手間を掛けるようになりました。倉山さんとの経験がこのバンドにとってターニングポイントだったと思う。
歌詞の「買うだけで読んだ気になるから読みかけの本が山積み」はまさに自分のこと。
【夜霧の向こうへ】
Aメロは言葉のリズムは全く無視して、歌メロ重視で歌ってます。
くうちゅう🎵
ぶらん🎵
こからこぼれ🎵
るひ🎵
かった🎵
やみをいぬけ🎵
歌詞カードが無いと何歌ってるか分からない歌です。元来の「日本語ロック」に意識をおいた。
「扇風機の前で「あー」って言って遊ぶ君で居続けてほしいよ」は実際に扇風機の前でそうやって遊ぶ次男を見た時に浮かんだ歌詞です。
【逢いたガール】
歌詞がややこしく未だに覚えられないし、歌も難しいのでライブではやりたくない曲なんですが。。そういう曲に限ってライブでリクエストが多かったりする。テーマは疫病、震災、戦争と殺伐としていく現代を生きる母親から我が子供へ贈る言葉。母親なので正確には「ガール」では無いんですが。
まぁ、その辺はご愛嬌で。
女性口調で歌う事によって別の人格で歌えるので、恥ずかしい事も照れくさい事も気にせずに歌えます。なんか母性が足りないなと思い中学の後輩のヒロミちゃんにコーラスを頼んだ。これ以降、彼女の才能に味をしめてしまい、このアルバムの半分くらい彼女にコーラスを入れてもらった。
ありがたい事にFM高松の2025年3月のパワープレイソングにも選んで頂きました。
この曲は家で暇つぶしにギターをポロロンと弾いてくうちに気持ちいいコード進行を見つけて、そこから広げていった曲です。普段あんまりやらない作曲方ですね。
「なんでもかんでもカメラに頼る癖がついたから記憶力が鈍っちゃったのかな?この世で一番綺麗なものはカメラには写らないことも覚えててね」
これは我が子に言ってるようでライブ中スマホで写真を撮りたがるお客さんに言っているとかいないとか。笑
最後の「貴方は愛の意味を考えて人を傷付けて傷付いて痛みと向き合いながら想像してて」の部分ですが「人を傷付けて」を先に持ってくるとこが良い。とユースアンセムのつよし君が褒めてくれたのが嬉しかったです。
【裸の王様】
これは2024年の一月、妹の旦那さんに薦めて貰った「大橋純子」を初めて聴いた時の衝撃を噛み砕いて吐き出した曲です。聴いた瞬間に「うちもこんなんやりたい!」って思って三ヶ月くらいかけて作りました。美乃家セントラルステイションに敬意。
贔屓にしてる芸能人の悪い噂(ほんまがどうなんか分からんような噂)が報道されただけで、疑う事なくその芸能人を軽蔑してしまう素直で綺麗好きな方々と、それを食い物にしてる方々へ捧げる歌詞です。
だって
「この後スタッフが美味しく食べましたって言っときゃ(聞いときゃ)安心すんでしょ??」
【ギラついた月曜】
サブスクでは聴けない曲です。島田のドラムが光っております。
今後ライブでも定番になると思います。1分半の曲なので使いやすいし。
「耳は日曜めくりたいカレンダーと梅昆布茶の湯気 見つめながら」と「足りないものが多くて悩むのは要らないものが増えたせいなのかも知れないよ」という部分がお気に入り。
うちの曲で「チップスター」という曲があるんですが、元々は映画セッションで「倍テン」という言葉を知り、島田に倍テンって出来る?ってダメ元で聞いたら島田さん余裕でやってくれまして、そこから倍テンの虜になってしまい、今作も倍テンの曲を作ろうという運びになりました。
なぜ、1分半の曲になったかというと島田の倍テンが長くは叩けないから。というのはここだけの話。
次回、後編へ続く

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