E:これは知られざる系すね。その人も世代が少し違うからなのか、全く知らなかったですね。あとSHOさんに聞きたかった話が個室関係(MBSの深夜に民放で放送されていたディープな音楽情報番組)のことですね。

S:あれな(笑)あれは今言ってたような話の後やね。俺たちがSONYからアミューズに移籍して…そこでMBS系のローカル局でブライアンバートンルイスとSHOくんの司会で音楽番組をやろうと企画があって。ただ肝心のプロデューサーから電話かかってくるっていう日に俺の携帯が止まってたりして(笑)当時メチャクチャな生活してたからな。色々あって俺は計画から外され(笑)まぁ後に個室関係企画のベイサイドのイベントには呼ばれたりしたけどな。

E:僕が初めてエッジのライブ観た時ですね。衝撃的でしたよ。でもそれも結構なターニングポイントかもですね。

S:そうやなぁ。でもそれをさっき上げへんかったのは結果として、そういう業界に進んでても俺にとって幸せな道がなかったんちゃうかなと思うからやな(笑)

U:DARKSIDE UST(ustreamを使ったライブ配信のハードコアの音楽番組)もSHOさんの繋がりやったんですか?

S:アレも面白いつながりがあって、ちょうど3rdの時期で俺らがVAPに移った時かな。これBEYOND HATEとかとも繋がる話やねん。
VAPの担当A&Rが全然違う映像の案件の打ち合わせの席で、紙袋に俺たちの1stアルバムを入れてて。その時に同席した映像監督の奴がたまたまそれを見て、「なんでEDGE OF SPIRITのCD持ってるんですか?」ってなって。その映像監督は浜松出身でSTANDING POINTとかハードコアのライブに行ってた奴やって。それで「エッジ撮るんならノーギャラで良いから撮らせてくれ」って言ってくれたんよ。そいつがスズキダイシンって奴で。モーニング娘。とか椎名林檎とかマキシマムザホルモンとかの映像監督。今でもビヨンドのトクさんとはそのダイシンの話題になる時あるよ。

U:そっからDARKSIDE USTに繋がるんすか?

S:そう、そのスズキダイシンと、あと安田潤司さんっていうこないだGISMの映画(ちょっとの雨なら我慢)撮ってた人が中心になってustreamのチャンネルを持つと。そこで5枠だけお試しでやらしてくれる事に。収益モデルがもし作れたら継続してやれると。まぁそれは難しかったんやけどな。そこでH8MONGER(DOGGY HOOD$, SAIGAN TERROR)とSENTAくん(NUMB)を誘ってやり始めたと。

U:そういう皆んなの協力あってこそやったと。でもあの当時にあれは出来ることではなかったすからね。今やるっていうのはもう厳しいすか?

S:むずかしいよな、2時間生放送で3カメ使ってっていうのは。面白いものは出来たかなと思うけどね。

U:ほなエッジは出すごとに移籍してる感じなんすね。

S:まぁ裏を返せばショット契約しかしてもらえへんかったとも言えるねん。でもそのVAPのA&Rにはハードコアプライドを見に来させて、そこで契約に繋がったんよ。
お前らメジャーの連中が知らん、客も入ってる凄いカルチャーがあるからって言って。

U:人の繋がりがホンマに凄いすねぇ。

edge of spirit ライブ写真

E:ちょっと話広げる感じなんですが、僕も京都なんで大作戦とかポルノ超特急とか、そういう大きなイベントとかに呼んでもらって遊びに行かせてもらう時もあるんですけど、どうしても何か大きな違和感を感じることが多いんです。やってる人たち自体はそれぞれがピュアにやってたりするんで、悪く思うこととかはないんですが…その違和感の正体ってSHOさんの思うところで何か答えられたりしますか?

S:違和感を感じることはあるよ。
でも俺の哲学で話せば、その違和感を感じてるっていうのは無理にハマろうとするから感じてるんやと思う。その道の先は行き止まり。
出る方としてジレンマを抱えることもあったけど、結局は自分たちがどうあるべきかだけ。変にアジャストしようとしたりするから、余計にそういう感覚が生まれてまうねん。
100%濁りのない自分たちのライブをちゃんと出来ればおのずと結果はついてくる。場所は選ばへんし、選べへんはずやし。そういうことをやってきてるし、やれるはず。ただ寄せたり合わせたり、自分たちの微妙な部分を変えたりとか、してしまいがち。俺たちはこれまでも出てきたし今後も出ることもあると思うけど、そういう場所でこそ、どれだけ自分たちを曲げずにやれるかがホンマに1番大事。それが出来てない、何かのせいにしようとする悪魔のささやきが違和感になって出てくるねん。イベントが悪い、環境が悪い、場慣れしてないからとか、違うもののせいにする原因は沢山あるけど、本当は自分を貫けなかっただけの話。

U:間違いないすね。

S:これはさっきからの話に通ずるんやけど、俺が商業音楽の世界に飛び込んだけど自分のいる場所ではないと抜け出したのは、ある日envyのライブを観た時に思ったことがあって。俺は自分たちの力の足りないところに、誰かの力を借りてゲタを履こうとしてたんかなと。人気が出ないのをアングラのせいやとか、地方にいるせいやからとか原因を探してしまってたところに、目の前にメジャーとも契約しないインタビューにも答えないようなバンドが自分を貫いて沢山の人を魅了してる様を見て、やっぱり良い曲を書いて、良いライブをし続けたら結果はついてくるんやっていうのをまざまざと感じて。
ゲタを脱ごうと思った。エロリンがどういうイベントを想定して質問してくれてるかも分かってるけども、逆もしかりで邪な気持ちでゲタを履きに行った人たちも違和感を感じるやろうし、裸足で手ぶらで行って100%自分の身体でブツかって帰ってきた人たちは意味のあるもんになると思う。
俺の中で、そういうとこを無垢な気持ちで出来るのがpalm高橋という男。
彼の良いところはそこです。だからええライブ出来るんちゃうかな。

E:僕も話聞きながら高橋くんの名前は頭に浮かんでましたね。

S:これ簡単に言うてるようやけど、ウメとか難しいのわかるよな?

U:わかるっす、なかなか出来ないっすね。

S:なんかこの辺のモヤモヤしてるような答えをズバリ言ってくれたのが、こないだのイチローの引退会見やってん。28年間で何を貫けたかっていう質問に、野球を愛し抜いたことって。これやなって思った。自分の出してる音に自信と誇りを持って、ハードコアを愛して、その場に立ててるか。それに尽きると思う。これを実践していきたいと思った。

U:あとはあれかな、FOUがSHOさんに焦点をあてたこと。

S:そやな、なんでなん?(笑)

U:FOUとして核となるバンドは今の7バンドで決まったところがあって、レーベルとしても。その中でどう広げていくかっていうのを考えた時に、このwebマガジンもそうですけど、カラー的にいえばどうしてもスキンズとかに寄りがちになってしまうなとなって。

S:なるほどな。でも必然な流れちゃいますか。あんまり昔話ばっかりにしないようにしてほしいなとは思うけどね。

edge of spirit ライブ写真

E:これは座談会ぽい感じで話したいとこでもあるんすけど、今後ハードコアとかパンクとかのこういった環境やコミュニティとか、ザックリ言えばどうしていったら良いと思いますか?今のままやと下手すると先細りになることに危機感を覚えてたりもして。若い子たちに向けてのメッセージとかも込めてもらえると嬉しいかもです。

S:うーんちょっと難しいけども…徹底することちゃう?やっぱり。俺は自分以外の誰かがやるなら純度が薄くても良いと思ってて。カップラーメンも、二郎系のラーメンも美味いやんか。例えばSECOND TO NONEとかな。貫くって凄いやんか。
あと昔から知ってるからあえて引き合いに出すけど、クリスタル(CRYSTAL LAKE)のユーダイ。貫いてるやん。伴う結果は千差万別やけども。でもそこにあまり囚われずに最後まで何が出来るかってのが大切かなと。職業にすると、それはまた過酷な道が待ってるし。結論はやっぱり出てるけど、何か逃げ道を見つけず、人のせいにするのでもなく、一本芯を作ってやるかどうか。それ以上でも、それ以下でもない。

U:こういうFOUの動きとか面白いと思います?

S:面白いと思うよ。新しいことやるってことが面白いし。ただ風船がデカくなると割ろうとしてくる奴も出てくるから。
でも何かしようとしてるっていうのは好感をもって見てるよ。何も動かんのが1番面白くないから。

E:そろそろ最後の方に向かおうと思うんですが、若い子たちの入口というものに対して考えることが僕は結構あって。最初の方でも言ってたすけど接点とかタッチポイントとか。

S:これは言い方難しいんやけど、俺はこの音楽に関してはクラスにたった1人の尖った奴が聴いてくれてたら良いと思ってて。クラス全員がEXILE聴いてる時にTURNSTILE聴いてる奴がええねん。そいつにだけはカッコ悪いと思われたくないねんな。エロリンの言うことも死ぬほどわかるねんで。やねんけど、っていうとこな。

U:俺もそこはめっちゃわかるなぁ。

S:大衆に支持されだすと鋭さがなくなるから。刺さらんくなるねん。俺の持論やけどな。色々と矛盾してるのはわかってるんやけどな。でもいつだってイケてる音楽でいたい。

E:今日いくつかバンドの名前とか、人の名前とか出してくれてたりするすけど、いま気になるバンドとか挙げるとしたらどうですか?物事とかでも良いですよ。

S:俺とか釣り好きやんか。そういう世界にもハイスタもおればブルーハーツもおるねん。ハードコアな人もおるし、モドキもおるし。ある程度全体を見渡してみると、やっぱり尖ってる奴が気になるねん。感性は間違ってないと信じてるから。EX-Cがまだ4年目とかのバンドやったら挙げるんやけどなぁ。

一同:(笑)

S:あえて挙げるとするなら…SAIGAN TERRORのアルバム良かったなぁ。あとは最近見たCRYSTAL LAKEの大阪のライブ、あれほどの完成度に仕上げるにはどんな努力があったやろうと想像したらゲボ出そうになった。ほんで、ナーバス(nervous light of sunday)素晴らしいライブやった。音源ならBLOODSHOT、とんがってた。そして岡山のilska。気になるねぇ。良いバンドっていうのは出てきたらすぐ分かるね。EX-Cの最近出たPVは梅川の演技が細かいところまで結構ちゃんと演技しとるなぁと思った(笑)

U:あれ俺ら何も言うてないすからね(笑)勝手にやってるんで(笑)

S:あれはRISHU(rebel carnival, 無類の映画好き)が褒めるのも分かるわ(笑)

E:これで最後です、噂になっている当日のスペシャルセットリストについて。

S:まだ合わせれてないから何とも言えへんねんけど(笑)1999~2001年までの曲しかやらない。それ以降のライブはできれば新曲セットでやりたくて。それを考えると中途半端な時期やし、それならファンダンゴも最後やし振り切ってやろうかと。そんな感じです。

5/5 十三FANDANGO ライブフライヤー
2019.5/5 十三FANDANGO
EDGE OF SPIRIT企画「Conviction of 13」

EDGE OF SPIRIT

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