『今は自分たちの理想とするものとの回転数が噛み合いだしてる』【FRONT OF UNION フロントマン三者対談 中編】
KiM 江頭(以下 江)、FIVE NO RISK テッペイ(以下 テ)、EX-C UM8(以下 U)のVo.3名による、FRONT OF UNIONのフロントマン対談インタビューの中編。 相変わらず脱線の多い内容だが、レーベルとしての在り方や過去のこぼれ話、これからの運営や狙いについてじっくりと語ってもらった。それ以外にも3バンドがその力を持て余していた不遇の時代や、切り拓いてきたそれぞれの方法、そして今後のそれぞれの動きなどについて。基本は男がしゃべりでどこが悪いねん!という痛快なノリで、世代間や各地方の話にまで放談はおよんだ。文字にすると予想以上のボリュームとなったため、ひとまず中編をどうぞ。
インタビュアー:Erolin (BURNING SIGN / NODAYSOFF)
ー MIZUTAMAXX(EX-C / TheHAWKS)の登場により脱線した話(※掲載絶対不可)から対談に戻る ー
テ:もうミズタくん来たら絶対話それるやん!はよ今回の話に戻そう!
一同:(笑)
E:そろそろまた話戻しましょうか(笑)えーと、ちょこちょこと参加バンドの話は拾えていけてるので、コンピ全体の話として。さっきFAR EAST HARDCOREの話が出ましたが、そういう感じでモデル?だったり何か目指そうとしたコンピみたいなものってありましたか?
テ:俺は正直コンピの話が出たときにはヘタすると駄作になるんじゃないかなって思ってた。売れる売れないは別の話ではあるけど、まずコンピっていうもの自体が今ホンマに売れないっていうこともあるし。
E:コンピが売れないってのはよく聞きますね。
テ:でも昔の俺らは色んなコンピを聴いてバンドをやってたわけやん。ただ、今回みんなから送られてきた音源を並べて通して聴いてみて、俺が10代のガキの頃・・・それはFAR EAST~聴いてENVYかっこいい、BRICKBUTTかっこいいって言ってたあの頃と、それと同じような感覚をもってもらえるんじゃないかっていう、そんな凄くバラエティに富んだハードコアパンクのコンピレーションに仕上がったんじゃないかと思う。
E:なるほどなるほど。さっきこれも僕は少し触れかけたことですが、今のFOUとしてのレーベルとして色の豊かなバンドがズラッと揃ったすごく良い状態、この今の形を世の中に提示したいとか、そういう気持ちもあったのかなと。底上げっていう話とも繋がるところで。
テ:その気持ちはエガちゃんは強かったんじゃないかな?なんせFOUはこれだけのバンドがいるんだぜっていう。KiMは今や結構な人気のバンドになったけど、今回のコンピで例えばKiMを聴きたいと思って買った人たちに対して、EX-CやBALL BUSTERSとかを聴いてもらうっていうことはやりたかったはず。きっと5年前や10年前では出来なかったことやから。
江:レーベルの話で言えば、単独作品の基準ラインにしたい、クリアしていきたい枚数っていうのがあって、みんな軒並みそこのラインにもっていきたいっていう気持ちがある。今回のコンピはそんな現状を打破する一手でもあるし、各バンドの努力をどういう形で見せられるかというところも合わせて考えたもので。実際この6バンド以外で参加したいというバンドもあってん。かなりちゃんとしたバンド。でもそのバンドや人の名前で売れてしまうレベルやったから、そこは悪いけどお断りさせてもらって。この6バンドで手柄を上げたかった。
テ:底上げっていう言い方が良くないかもな。何が底なのか分からんし。
E:あぁ、すいません(苦笑)
江:だからどういう言い方が良いのかな・・・。もっと売れる・・・いや売れる売れないだけではないけども、そういうポテンシャルが高いバンドを知ってもらうキッカケ作りで良いんじゃないかとも思っていて。そしてこのコンピを良い感じにリリースして、そのレコ発のライブを各地で開催して、なおかつ参加してもらったバンドにはそれぞれ続けて単独作品をリリースしてもらう計画がある。KiMはもうアルバムでいくし。
E:そう、今後の計画についても聞きたかったところなんで有り難いです。
江:まずはEX-Cやね。各バンド、次々にリリースしていく。ほんでファイブノーはまた2枚組って言うてるし(笑)
テ:いやいやいや(笑)
江:まぁ、今回は一つの区切りやったりもするかな。やりたいことをやれるためのレーベル作りがここまできた。そして段々とただやりたいだけじゃない、狙った上でやりたいということも良い意味で増えてきて。昔はレーベルとして資金が足りなかったりとか、色んなペースが遅かったりとかどうしてもあったけど、今は多少なりとも自分たちの理想とするものとの回転数が噛み合いだしてる。だからこそ、ここを一つの区切りとして、レーベルとしても価値のあるものにしていきたいという気持ちかな。
テ:俺は最初ファイブノーの1stアルバムを出すとき、エガちゃんにSTRAIGHT UP RECORDS(SLANGのKO氏が運営するレーベル)みたいなレーベルにしたいって言われたの覚えてるからね。色んなスタイルの上質なバンドを出していきたいっていう。
江:まぁ核となるバンドがとりあえず揃ったと思ってるし俺は。さっきのKLAXIONの半年や1年かけたって話があったけど、やるってなるまではかなり石橋を叩くタイプやから(笑)動き出したらそこそこ早い方やと思うけども。俺の中では記念作的な意味合いもあるかな・・・なんか良い風に言おうと思ってよく分からんくなってきた(苦笑)
テ:俺は楽しくやるってシンプルな感じで良いと思ってるよ。カッコ良いバンドがいたとして、ほんでそいつらがアルバムとか出したいんやけどリリースどこからも声がかからん、こいつらがもっと認められたら面白くなるのになぁって。レーベルってそれだけなんじゃないかと思うから。そのぐらいシンプルで良いんじゃないかって。エガちゃんは戦争や戦争や~少数精鋭の軍隊が~とかスグ言いだしがちやけど(笑)
江:う、うーん・・・まぁ聞く、聞くわ、そのまま、うん、続けて(苦笑)
テ:エガちゃんも良いライブができて、酒飲んでも面白いとか、ほんでガッツリとライブ数やってるバンド、やっぱりガッツリとライブやツアーやってるバンド好きやから。そういう奴らが恵まれないなっていう状況があったりするなら、一緒にやっていきたいなって。それはエガちゃんも一緒やと思うし。
江:そうそう勿論。だって俺らがそうやったし。KiMは誰も出してくれへんから作ろうやったし。
テ:ファイブノーもそうやで。誰も拾ってくれへん野良犬みたいにクゥーンクゥーンいうてゴミ箱あさってたら、エガちゃんがとりあえず家で湯豆腐でも食いに来いやって言うてくれて。
一同:(笑)
江:大丈夫や、京都来たら大阪の過小評価なんて関係ないしスグなくなるから、言うてな(笑)今ではテングのようにライブするけど、EX-Cの時はどうやったん?昔にギター弾いてた身としては。
テ:こら誰がテングや(笑)いやいやEX-Cはどれだけ楽やったか!ステージでワ~言うてたらそれだけでブワーッてモッシュ起こるし。
U:EX-Cやめてからちゃうか?ホンマに輝きだしたんは。
テ:こらこら(笑)EX-Cは大好きやったよ、色々あって辞めたけども。でもあの時はEX-Cやってる人がファイブノーやってるって言われたり、思われたりするのが悔しくて。自分でボーカルやってるバンドやからどうにかしないとって・・・。ただ今はもう、オナニ渕に勝たなアカンという(笑)どこに行ってもオナニ渕オナニ渕って言われるし・・・
U:違うプレッシャーが(笑)自分で仕掛けといて(笑)
テ:自分でまいた種で・・・自分に負けてるっていう・・・
江:才能との戦いやな(笑)
テ:どこのツアー行っても・・・いや、俺じゃないんです!俺じゃないんです!って
一同:(笑)
テ:あれは違う人なんで!また宜しく言うときますわ!って、対バンの相手とかにも・・・
U:それはなかなか辛いな(苦笑)
江:でもファイブノーの話に戻すと、跳ねていく瞬間みたいなのはわかったとこがあって。1回目は1stアルバムのツアーが終わったときくらい。もひとつ言うとアルバムが完成したときかな。もともとテッペイ自体はもう完成してたというか、他のメンバーがついてこれてなかった感じやってん。それが過酷なツアーを経て、メンバーを一気に成長させてんな。
テ:125本くらい?ライブやったからなぁ。
江:大阪やとバンドの数も多いし、もしかしたらこの才能が埋没するんかもしれんと。でもバンド数の少ない京都やったら、みんなその魅力に気付くのも早いんちゃうかと思ったわけ。
テ:エロリンとかは大阪は色んなバンドがいるっていう話するけど、一番不遇やったんはファイブノーやったから。ほんまに誰からも相手されへんかったもん。唯一相手してくれたんはY.D.Bくらいやったからな(笑)だって周りでいうたらBサイド(B SIDE APPROACH)とかも、EX-CやMASTERPEACEみたいな先輩らに目かけてもらってPIPE69とかにも沢山誘ってもらったりしてて・・・
江:そうやな、Bサイドはよく誘われてたし凄かったなぁ。
テ:Y.D.BもY.D.Bで、ミズタくんとかが凄い可愛がってたりしてたし。同期やとSLUTSがいたけど、VIBRATIONSとかが先輩やったし。俺らはマジで相手してもらえてなかった。
江:テッペイ自体は悪い意味ではなく、変わってないねん。最初っから凄い奴やなぁと思ってたよ。
テ:え、そんな風に思ってくれてたん?最初バカにしてなかった?
江:最初に記憶あるのはマサカリでギター弾いてた時かな?転げまわってギター弾いてた姿見て、凄い奴やけど・・・そん時は友だちにはならんとこって思ってた(笑)でもボーカルの姿見たときに、正直これはキタなと思って。ほんでもひとつ言うと、正直EX-Cの時のテッペイの印象はないんよ。そん時はウメくんだけ。
U:へー。意外ですね、あんだけワーワーやってたのに。
江:そう、ウメくんだけが抜群に良かった印象で。後からテッペイがギター弾いてるのを認識したくらい。
テ:俺は後から自分で弾いておいて何やねんっていう話なんやけど、例えばSICK OF IT ALLの動きまくる弦楽器陣いるやん?ああいうイメージで最初にEX-Cを見たときに、俺は両サイドの弦楽器陣が素朴すぎると思ってん。ウメくんは真ん中で頑張ってるんやけど。だから俺はステージをかき回してやろうってやってたから。エガちゃんは俺のおらん時期のEX-Cを見たんちゃう?
江:なんかそういう気がしてきたわ(笑)俺がさっき言ってたんは確かPIPE69のライブやったと思うし。
テ:ホンマにおらんかったかもやわ(笑)まぁ何にせよEX-Cに足りないのはその弦楽器とかバンド全体のアグレッシブ感みたいなとこやったし。そういう意味でいうと・・・今もうなくなったバンドやけど、俺はB.D.UNIONがホンマに好きやってん。特に初期とか。センスとかも含めて。
E:初期は大丈夫です。
U:大丈夫ですって(笑)
江:それちゃんとエロリンの言葉として書きや(笑)
E:大丈夫です(笑)
テ:ライブも凄かったんよ、もう楽器とかも置いて暴れまわるような。男気も感じたし。当時のSxSxSのバンドには俺はあまり感じるものは正直なかったけど、B.Dはホンマにかっこ良いと思ったし、そういうのがEX-Cでもやりたかった。
E:最初の頃、テッペイくんは色々とバンドを掛け持ちしてるっていう印象が強かったですね僕は。
テ:強かったというか・・・自分のセンスを出せてなかったのか、まぁ元々がハードコアをやろうとしてたわけじゃなかったとか・・・色々あるけど、例えば京都やったらfireflyとかyoubringgraceとか、まぁもっと言えばバーニング(BURNING SIGN)とかノッツー(NOTⅡBELIKESOMEONE)とか、もうヤバいヤバいって言われてて。
江:KiMは?
テ:KiMはそのとき嫌われてたから(笑)
江:そっか(笑)
テ:まぁ今言ってるのが2003~2006年くらい。さっきからも言ってるようにファイブノーだけ取り残されてる感はあった。確かに音がガチガチのハードコアってわけではなかったかもしれんけど、でも周りの近い世代がそれぞれで勢い出してる時に俺らだけ・・・っていう疎外感。EX-Cは自分の中ではライブは凄く頑張ったつもりやったけど、曲を作ってるのもウメくんとソーくん(現SECOND TO NONEのDr.)やったし、どうしても自分の色は出しにくかった。ギターソロ作ってきてもウメくんに全然アカンて言われるし・・・
U:いや、あれはタバコ吸うとこで適当に作ってたからやん(笑)
テ:いやいや、あれは家でちゃんと作ってきてたんやって。俺もそんなん言われるから、30分か40分かくらいで適当に作ったいうて。それでウメくんと言い合いになってん、そしたらソーくんもお前ボーカルに何いうてんねん言われて、もう両方からボコボコや(笑)それがちょうどFIGHT IT OUTとのスプリットのときかな。フクダスタジオで。
U:でも結局そのギターは採用したんちゃうかな。ただプロセスみたいなもんがその時は全然見えへんくて、こっちも必死で下地を作ったのにってイラっとしてもーて。
テ:なんか苦労して作ったっていうのが嫌やってんあの時は。ほんで俺やったかな?言い合いになってスタジオ出ていってしもて。
U:ギター踏みつけて出ていったん覚えてるわ(笑)
江:なんかEX-CとFIVE NO RISKやってたっていうのがイメージしにくいねんなー。
テ:ウメくんのボーカルはなんというか、セクシーやってんな。いい声してるなーと思ったし。曲とかもめっちゃセンスあるなーと。俺はその当時、テンポとか遅い感じの極悪系?みたいなバンドとかはあんまりハードコアやと思ってなかってん。正直今でも俺は思ってないし。もっとOi的なコーラスとか入れて、バーッと走ってギターもシンプルなリフとコードでEから上のオクターブに上げて攻める、っていうのが・・・EX-Cはそれがカッコ良くて好きやってん。俺からしたら憧れもあって入ったし。