HATANO氏(HAWAIIAN6, IKKI NOT DEAD)対談前編

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江 : ちょっと、レーベルの話に戻しましょうか。

H : ここにきて、始まる感じだね（笑）

江 : 次の8月18日、京都MUSE HALLの『IKKI NOT DEAD vs FRONT OF UNION』のことも含めて、ちょっとやりましょか。意外とレーベル同士の話、しませんもんね。今ってIKKI NOT DEADは実際、HAWAIIAN6、locofrank、kamomekamome、NO EAR、SABANNAMAN、Coast Guardsの、6バンドですかね？あれっNOT A NAMEはどこいったん？（笑）

H :（笑）一応、休止的なね。

江 : そしたらウチ（ FRONT OF UNION ）も、バンド数が7で一緒なんすよね。

H : ウチもそうだけど、パンク/ハードコアのバンドが多いから。メロディックなんていったら、locofrankしかいないからね。でも、うちのパンク/ハードコアのバンドって、ある日突然活休入るからな～（笑）諸事情があるんだろうけどね。レーベル何年かやってきて、わかってきたよ。色んな強い気持ちがブツかって、いきなり止まる時が来るんだよね。

江 : それーNOT A NAMEの話ですね（笑）

H : （笑）いやいや、ハードコアファンクラブと、その前に止まってるバンドもあるからさ。

江 : そうかぁ。まぁバンドだから、色々ありますもんね。

H : そういや昔に、別のレーベルと共同イベントをやろうかって話になって、それは企画だおれになってね。その時に先方に言われたのが、人間が強すぎるって（笑）
このバンドが有名だとか、人気があるとかじゃなくてね。その時いたのがウチ（HAWAIIAN6）と、kamomekamomeと、NOT A NAMEだったかな。だから濃すぎるって。

一同：（笑）

H : だから実際こうやって、このイベントをやれるのって嬉しいよね。

江 : 両方濃いですもんね。

H : まぁでも2つのレーベルだけど、ほぼほぼ交わってるじゃん。自然にやれてるのがいい感じだよね。

江 : 最近、locofrankとFIVE NO RISKもよくやってますもんね。

H : EX-Cだけじゃない？今回のイベントでは。

江 : そうですね。EX-Cは絡んだことないですよね。今回ねー結構悩んだんですよ。流れでいくとBEYOND HATEじゃないですか、でもそこをあえてEX-Cでいくっていう、あまのじゃく感が出てね。でもEX-C自体も、こういうフィールドの中も見てみたいし、やってみたいとは思ってるんで。
去年のKBS、EX-Cは出てないじゃないですか、あれも本人らには火をつけたみたいで、全員で見に来とりましたもんね。なぜ俺らが出てないって。
これっていきなり始まるもんでもないし、お互いライブを見せあって、付き合いの中で生まれてくるもんですし…KiMからしたらEX-Cと演るのは普通ですけど、IKKIからしたら誰も対バンしてないんちゃいます？

H : 多分まだ誰も一緒にやってないんじゃないかな？俺らも最初はlocofrankじゃなくて、NO EARでいこうかな～と思ってたんだけど、エガちゃんがコレやろうって言ってくる意味って、ギャップを楽しみたいと思ったからでしょ？あえてメロコアの色が強い方が、イベントとしてはギャップがあるじゃん。そっちの方が面白そうって、それもあってlocofrankにしたのね。
kamomekamomeは、ご存知の通りウチの番長なんで、行けるところには、全部行ってくれってね（笑）ライブやってくれるんだったら、どこに行ってもやってほしいんだよ。でもあのバンドはホントの職人だからさぁ、好きなところしか行きたくないんだよね。大きいところでやりたいわけでも、大勢のところでやりたいわけでもない、10人だろうが3人だろうが、好きな奴らとやりたいっていうね。だからこのライブの話が来たときに、メンバーに話したら空けときますって言ったから、あの人たちがやりたいと思う場所でやれるのが良かったなって思う。

江 : いつもkamomekamomeとやる時は、エコーズやったり、誰かの主催のイベントやったりで、自分たちのホームのイベントでやるのは初めてで、京都でやるのも勿論初めてなんでね。でも何年かごとには一緒にライブしてるんで、どういう感じなのかっていうのは見てるんですけどね。

H : 京都でって、ほとんどライブしたことないんじゃないの？

江 : それこそ、最後が、今のウチのギターJJがF.I.Bじゃないですか、F.I.Bとのツーマンが最後じゃないですかね。

H : 相当前だよね。

江 : F.I.Bの解散前なんでね…っていま、普通に言ってもうたけど、活休前ね（笑）解散は、こないだのKBSでしよったからね。

H : 年間で数多くライブ出来ないバンドだし、関西行くならまず大阪になるだろうしな～。

江 : 大阪の時は一緒にやったんで。ようわからん主催のって、言ったら主催者に怒られるけど、昨日も連絡あったし。kamomekamomeがメインの企画があって、素直に出せばいいのに、カモメ前にシークレットでKiMに出てほしいって言って、無理矢理シークレットにさせられるっていうね。ライブ前に幕を閉じさせられて、カモメが出る前に幕を開けたらKiM！絶対ウケるで！って大喜びで言っとったんすけど、俺が企画もらった時点で、絶対スベる思ってましたもん。

一同：（笑）

H : スゲーな。普段から数多く一緒にやってたり、スプリットとか出してるんだったらシークレットの意味もわかるけど、そらーいきなり無茶だろ（笑）

江 : そらーお客さんは、カモメを見に来てるんですもん。シャーて幕閉じて、嫌な予感はアリアリとしてるんですよ。で、客席からおいおい何コレ、って声が聞こえてくるし。最悪やったんが、うちらウッドベースやないですか、シルエットで写ってるんですよね。客席からこれKiMちゃうの〜って、声聞こえてくるし、こら地獄やー思いました。はよさっさとカーテン開けろやって言って、開いたら、あーやっぱりKiMやんって。

H : ネタバレしてるシークレットって、1番しんどいじゃん（笑）

江 : ってことを経ての、京都での対バンなんで。

H : まぁ色々あるんだね。メンバーの都合上で、出順はちょっと希望があるんだけど、イベント自体はやらせてもらえたら嬉しいって話だったんで、こっちも嬉しかったよ。この共同イベントに、どうしてもカモメは出てほしかったんでね。

江 : 僕もカモメにはどうしても出てほしかったんですよ。最初に誰か出てほしいバンドがあるって聞かれてたら、絶対カモメって言うつもりだったんでね。

H : やるならこのメンバーでやりたい、っていうのがあったからね。

江 : IKKI側の3バンドのメンツ見て、東狂アルゴリズムも悩んだんですよね。東狂アルゴリズム、BEYOND HATE…でもここはあえてのEX-C。そやしEX-C、その日に合わせてフルで動いて音源仕上げてきますしね。自分らなりにも、あるんでしょうね。その輪の中に入るためには、やっぱり何か持って、自分たちのお客さんも巻き込んでいきたいっていうね。音源は9月に出すんですけど、その日に先行で出すって形ですわ。

H : その日に向かっての思いはそれぞれあるよね。俺たち、毎回思うけどさぁ、レーベル側からバンド側に音源出させてくださいって話をして、それでスゲーいい音源を作ってきてくれるのね。それはレーベルからすると嬉しいんだけど、いざバンドで対バンするとなると、毎回カモメには心粉々にされるもん（笑）なんでこんなにライブやってないバンドに、こんな凄いライブが出来るんだって。でも、その粉々にしてくれるバンドがレーベルにいてくれるっていうのはいいね。

江 : レーベルやってて思うのが、誘うバンドのほとんどが僕のスカウトで入ってるんですけど、誘う理由が、ちょっとやそっとで勝てへんっていうバンドを誘うんですよね。暴れん坊で、押しつけがましくて、嫌われ者やけど、ほんまにライブすごいってバンドをね。野村監督が、拾うクセみたいな感じで。

H : カモメ自体がさぁ、昔FC FiVEとかがいた時に東京のハードコアシーンの一角を作ってるバンドだったから、こんなに凄いバンドがなんでもっと日本で有名になっていかないんだろうって、仲良くなる前から疑問に思ってた。こんなスゲェのに、なんでフェスとか出ねぇんだろうとかね。それから活動がどんどん目減りしていった時に、純粋に勿体無いって思ったし、レーベルやってる人間としては、広めたいと思ったよね。
今回エガちゃんが、京都MUSEをパンパンにしたいんだって話をしてくれた時に、自分たちが意地になって重ねてきたことも含め、カモメカモメも普段のライブの本数は少ないけど忘れない人たちや、熱い気持ちを持った人たちが京都MUSEの一日に集まったら、とんでもねぇー温度になるんだろうなって思ってね。それに対して、頭の悪りぃーlocofrankが、どうするんだろうかってね。

江 : FIVE NO RISKも、輪にかけて頭悪りぃーすもん。

一同：（笑）

H : ロコも頭はワルいけど、残念なことにバンドはスゲーカッコいいからさ（笑）

江 : そのうち、スプリットでも出すんじゃないですかね。なんか、楽屋とかでキャッキャキャッキャと喋っとるんですけど、内容が理解できないですもん。バンドの話か、焼肉の話か、わからんすもんね。

H : いやーきっと、いいバンド関係になるんじゃないかな、未来が見えるよね（笑）

江 : さっきの、MUSEパンパンの話もやけど、また目指したいんですよね。僕らまだ、MUSEを満員にしてないんで、満員にして、そして…

H : 確実に、なると思うんだけどね。逆にならなかったらさぁ、何回もやればいいんじゃないの？

江 : 前も電話で喋りましたけど、この間のKBSホールって、20何年のKiMの付き合いに賛同してくれた人たちがやってくれたってドラマがあるから、あれだけのバンドも人も来てくれて、それで成立したと思うんすよね。あれを、サラっともう一回やったところで、やり方次第では何とかなったんでしょうが、ドラマはなかったと思うんですよ。

H : （当たり前に）あるもんだ、になっちゃうとね。

江 : あれやっぱり楽しかったし、最高やったんすよ。エコーズの感じを、京都に作りたいって思ってて。そうなった時の条件として、京都MUSEが（京都のライブハウスで）1番お客さんが入る箱、そこを満員にするとなると、もうこれ以上お客さん入れない、じゃあ次KBSしかないやん、っていう形が自分の中で、出来てしもたんですよね。

H : 言い方悪いけど、楽をしようと思えば出来るじゃん。2回目をKBSですることは、誰も異論はないと思うし。だけどそこであえてMUSEを満員するっていう方が凄いと思うよ。ああいうイベントってさぁ、やった人にしかわからないけど、中毒性があるじゃん。1回やったら楽しすぎて、またやりたいって思うんだよね。それを1回立ち返って、MUSEでってのが凄いと思う。

江 : 流れに乗って2回目っていうのが、自分らで足元を見失う瞬間やと思って。

H : 大体1回目はサプライズで、2回目3回目は迷う時期で、4回目5回目位から、目指すものが見つかるってのが、パターンだと俺は思ってて。でもそこでMUSEに、って思ったのが凄いなと。

江 : 足元をちゃんと固めてるんやったら（KBSに）いこうと。そのためにMUSEを満員に、出来る面白いことをガンガンやって、ソールドアウトになって、ステージ上で、もうこれ以上は人が入れへんし次はKBSで、って言う。そのために色んな案があった中、今回のIKKI vs FRONT OF UNIONになったんすよ。

H : 8月になった時に、また来年もMUSEでよろしくってことも…

一同：（笑）

江 : まぁでもね、それがドラマやと思うんっすよ。届かへんかったら届かへんかった分、もう一回頑張るから、もう一回頑張って、来年満員にしてKBSにいくからって。

H : 俺たちもさぁ、新木場にこだわってて、どこでも出来るって言われれば出来るのかもしれないけど、やっぱりあの苦戦したコーストにこだわりたいんだよ。最初の頃、厳しかったコーストにこだわって、さらなる温度を高めていきたいって。MUSEにこだわって、そこを超えられなきゃ、何か違うって気持ちはわかるよ。まぁでも、やる側は既に楽しみなメンツだしね。

江 : そうなんっすよ。だからそれって後から付いて来るだけなんで、あの日がガチガチのvsなのは間違いないんでね。まぁ俺の自己満足の世界なんで。満員になったら（KBSへ）いく、満員にならなかったらまたチャレンジするし。8月に来てくれたら、楽しいのは間違いないのでね。

H : きっと響くと思うよ。関東からも来るだろうしね。エコーズでKiMを見て好きになって、リキッドルームで遊んだように、今回の告知を見て意味は分かってくれるだろうと思うし、どういうことなのかってことを。

江 : でもまぁゴールってのはないんでね。でもやりながら、1つ目指せるものを持てたので嬉しいっすね。企画段階からハタノくんに相談して、どれだけかかるか分からないけど、付き合ってほしいってね。

H : 止めなかったら、永遠に続くしね。折れさえしなければ、チャレンジ出来るもんね。

江 : まぁ実際面白いし、チャレンジし続けますよ。

H : まぁ今回の企画で、来年はKBSだなって勝手に思ってるけどね（笑）

江 : まぁ8月のライブで、来年KBSいくからって言えるか、来年もここで（MUSE）で宜しくってなるか。

一同：（笑）

江 : まぁバシッと行きましょ。今年の8月も熱くなりますよ！

江 : そしてこれは純粋な質問なんですけど、年間通して色々と呼ばれるじゃあないですか、これは面白いなっていうフェスってなんですか？

H : 俺たちが出してもらったイベントだと、世間一般のいわゆるTHE フェスって感じではないけど、いしがきミュージックフェスティバルかな。盛岡にある、チェンジっていうライブハウスを経営してる奴が行政とかと一緒にやっていて、フェスを運営してるんだけどね。無料でやってて、パンクやハードコアも呼んで、盛岡市内でやっててさ。1番デカいステージが城の公園に作ってて、4～5000人くらい入るのかな？他にも街中に何個もステージがあったり、弾き語りのステージとかもあってスゲー楽しいよ。

江 : 町ごと丸ごと、1日音楽で遊ぼうやって、スタイルですね。

H : そのイベントで、スーパーマーケット前にステージがあるのね。俺たち、そこでやりたいって言ったの。その運営してる男もかなり面白い奴だから、俺たちの無茶を聞いてくれてやっちゃおうって（笑）で、やったらまぁ二度と出来ないやつレベルで、絵が凄すぎて新聞に載ったからね（笑）俺もマイクで、スーパーの中から、鯖とか持って出てくる婆もいるから気をつけろよっつって、婆は通せよっつって（笑）たぶん200人くらいしか入れないスペースなんだけど、色んなとこの屋根の上にも人が溢れて、さらにステージの後ろの車道も溢れて、隣の立体駐車場のコインパーキングの4階にも人が溢れてて、そこからのダイブはさすがにそれは悪ノリだからやめろっつって。

一同：（笑）

江 : いやぁー最高すね、いいですねーほんまに。

H : 他にも規模は大きくないかもしれないけど、面白いな～って思うイベントは沢山ある。だけどまぁ自分たちが面白いなって思うような攻めた内容のイベントっていうのは、今の世の中には中々注目してもらえなかったりで歯がゆいけどね。それでも最近はKiMの武骨夜もそうだし、色んな面白いイベントがまた生まれ初めてて、これが全国にどんどん飛び火していけば今の偏ったシーンだけじゃなくて、もっと色んなバンドシーンが注目されていくんじゃないかなって俺は楽しみにしてる。主催する大変さや、大人の事情があったりとかもわかるんだけど、イベントやる側も観る側も、もう少し先入観無しで頭を柔らかく楽しめたらもっと風通しが良くなると思うんだけどな～。まぁそれには色んな覚悟が必要なんだけどさ。

【次回、後編へ続く】