『自分の出してる音に自信と誇りを持って、ハードコアを愛して、その場に立ててるか。それに尽きる』EDGE OF SPIRIT ┃ Vo.SHO インタビュー

EDGE OF SPIRIT ライブ写真 ボーカル

5/5(日)に十三にある老舗のライブハウス、ファンダンゴにてEDGE OF SPIRIT企画の「Conviction of 13」が開催される。EDGE OF SPIRITの自主企画というのは実に約15年ぶりとのことだ。最近のキッズにはそれほどピンとこないかもしれないが、ファンダンゴは90年代後半~00年初頭を中心にメタリックなハードコアバンドが出演することも多く、しのぎを削っていたライブハウスである。そのファンダンゴの移転に伴うことが発端となった今回のイベントだが、これまでのEDGE OF SPIRITやSHOの歴史を振り返りつつ、恐らくこれまでに話したことがないであろう内容にも触れることができた。様々な出来事を経て、いま現在到達したピュアな気持ちとは。イベントに向けての話だけにとどまらない、奥深い内容となった。

インタビュアー:Erolin (BURNING SIGN / NODAYSOFF)&UM8(EX-C)


Erolin(以下 E):まず最初はズバリ、今回の企画について聞かせて下さい。意図としてはどういったものになりますか?

SHO(以下 S):ファンダンゴが夏か秋頃になくなるという話を聞いて、しばらくやれてなかったというのもあるし、駆け込みでやれたら良いなと思ったのが最初のきっかけかな。ただ電話してみると空きが無いと言われて、そこを何とかコジあけてくれって頼んだら、ちょっとイケそうな日がありそうやと。

UM8(以下 U):はいはいなるほど。

S:ほんでやろうかなと思ってたタイミングにミズタくん(EX-C, THE HAWKS)から電話があって、それがファンダンゴで企画やりたいと思ってて、エッジも誘いたかったんやけど加藤くん(ファンダンゴ)に空きがない言われてん、っていう内容で。
そんな話が同時にきた感じやって(笑)ほんならもう一緒にやりましょうか、っていうのが最初やったんよ。
そのあと少しやりたい内容に違いがあったりして、EOSの企画でやることになったんやけど、そこにはEX-Cは出てもらいたいという形になって。その2バンドが決まった状態でスタートした感じやね。

十三FANDANGO ライブハウス
十三FANDANGO

E:それがいつくらいの時期でしたか?

S:去年の11月くらいかな。

E:ファンダンゴの話があったのが秋口くらいでしたし、そのスグ後くらいってことですね。そして去年は夏頃にエッジも復活して。そういう意味ではタイミング的にも良かったところもありますか?

S:そうそう。あと企画自体を15年か16年か・・・くらいやれてなくて、どこかで復活を機にやりたいなと思ってたところに大義名分ができた感じ。タイミングが合致したってところかな。

E:ちなみに前回の企画ってメンツ覚えてたりしますか?

S:若干記憶が定かじゃないんやけど(苦笑)
SWARRRMのレコ発の東京場所を頼まれて、という流れがあって渋谷のサイクロンでやったのが最後ちゃうかな。その頃はあんまり企画とかもやらんとこうとしてた時期やったんやけど、先輩からの依頼でNOとはいえへんかったから(笑)

E:サイクロンってことはもうエッジの東京時代ってことですよね?

S:もちろんもちろん、東京の時やな。

E:僕も僕であんまり分からず行ってたのもあって記憶が定かじゃないんですけど、ベイサイドとかでEARLESSとか企画が沢山あったじゃないですか。あれはエッジの主催やったんですか?

S:EARLESSはEOSとJOHN HOLMEZの主催やわ。ただあの頃のライブに関しては君ら世代とか俺ら世代とかは思い入れが大きすぎて(笑)めっちゃ企画やってたイメージがあると思うけどあの企画とかは2000年に3本と、2001年に1本やっただけやねん。2~3年はやってたイメージやったと思うけど。

E:もっとやってると思ってたす。

S:そやねん、実はその4回しかやってなくて。ただ、今じゃ考えられへんけど、ベイサイド(BAYSIDE JENNY、大阪港にあった2000人規模のライブハウス)であの規模を3ヶ月に1回とかやってた(笑)

U:そのインパクトが強すぎて・・・

S:そうそう、そゆこと。ちなみに2001年にはもう俺ら東京に移住してたしな。

E:そっか、もう「影と光」(2ndアルバム)を出した年になりますもんね。そしてちょっと今回の企画の話に戻すとしまして、メンツのところですね。このメンツになった理由や経緯のところを教えていただければ。

S:最初はさっきも言ってたとおり、EX-Cと2バンドでのスタートやったから・・・まぁいうてもベテラン同士なわけや(笑)そこで企画の趣旨としてはちょっとアレな言い方やけど、さよならファンダンゴって感じで当時よく一緒にやってたバンドでやりたいなと思っててん。俺の頭の中ではストサベ(STRAIGHT SAVAGE STYLE)を復活させて、俺らとEX-C、そこに出来ればSECOND TO NONE、T.J.MAXX、CRANK、SAND。そのあたりでやれたら、昔はここの楽屋でよく喋ったねぇ、ってな感じでやれるかなと。

E:最初そんなことを小耳に挟んでたんで、これはドエラいことなるなと思ってましたよ。

S:ただ最初に思ってたストサベ復活、いうのが速攻でムリやったんで(苦笑)まぁそれやったら昔のメンツにこだわる必要もないかなと。それなら今やってる好きな現役のバンドを呼んだという流れ。そこでpalmとshe luv it、BURNING SIGNを呼んだ。ほんでファンダンゴが22時音止めっていう時間に厳格なハコやから、4~5バンドの少数精鋭でやろうかなと。

edgeofspirit ボーカル SHO君

U:俺もメンツどんな感じでくるんやろうと思ってたんすよ。東京からもゲスト呼ぶんかな、呼ぶとしたら誰やろうな、とか。

S:いやぁ今回は関西だけで考えたね。ただ・・・SMD(SMDcrew)っていうくくりが邪魔で(笑)

一同:(笑)

S:なんか組んでいったら・・・これ俺らとSMDみたいになるやん、いうて。最後までshe luv it誘うか悩んだんよ。SMDが1人まぎれこんどるなぁと思って(苦笑)

U:バンドとしてはshe luv itはSMDじゃないんすけどね(笑)

S:そうそう(笑)せやけどSMDの色が強くなってまうなぁとは思ってん。

E:まぁ僕らSMDとしては、そうやって言ってもらえるのは嬉しいとこでもあるんですけどね。

U:今回に関しては若手のフックアップみたいなところは考えなかったすか?

S:うーん、それは頭になかった。若手のフックアップは他のバンドや人とかがやってくれてるし。その話に関してはもう少し前に考えたことがあって、例えば外タレとかに関してはマコっちゃん(SAND)も毎年のように誰か呼んでるし、DAYMAREとかも海外バンドとかを呼んでたりするわけやし。ほんで若い子たちには若い子たちで頑張ってほしいっていう想いがある。若い子たちは俺ら世代を呼ばなくてもお客さんが入って、逆に俺ら世代に呼ばれんでも面白いもんが出来て、いうのが理想やと思うし。そういうところで、俺らとしては対等にやれる場っていうのを作りたかったなって。

U:なるほどですねー。

S:今ってさ、イベントの”ストーリー”とか”色”みたいなものを上手に見せたりするやん。どこがどう繋がって、とかの背景も見ている側からも分かりやすくなったと思うし。昔は外タレの話とかあったら近くのバンド集めて、チケット売って何とかサポートして、っていうのだけやったけど、今はメディアがあったりマーチを仕込んだりとか、ちゃんと皆がカルチャーを理解した上でアウトプットできるようになってきてるねんな。ほなその次の段階として、地元にこだわって地元のバンドでイベント打つっていうのもアリかなぁと。

E:それが今になって新鮮に映る部分もありますし・・・僕も誘っておいてもらって、というところですが、さっきウメくんが言っていた、今回はこのメンツなんやっていう驚きはありました。そのあたりは熟考された上でのメンツなのかなぁって思ってましたが。

S:うーん・・・まぁよく言えばね(笑)でもそんな皆めっちゃ考えてメンツ組んでるか?いや、考えて組んでるか・・・エロリンとか考えて組んでる方やんな絶対。

E:そうですね・・・僕は考えるすね(笑)数があんまり打てるわけじゃないっていうのをネックに考えてしまってるというか。ここ数年はNODAYSOFFが企画をスタートしたのもあって、SMDのイベントと合わせたら年5回くらいは主催として関わってますが、それでも365日でいうたら、用意を省けばたった5日じゃないですか。そうなると1本1本に意味を持たせたり、内容の濃さとかを余分なくらい求めがちになっちゃうんですよね。今後を考えると、どのくらいのことが出来るのかな、残していけるのかなっていうのはあります。

S:なるほどなぁ。

E:ここ数年エッジが止まっていた間、SHOさんが考えていたことやシーンに対して思うことなどはありましたか?その距離感で思うところだったりとか。

S:基本的には周りの状況とかは関係なかったよ。復活に関してとかの部分でいえば。
あの時はただ単に新しい曲がなかなか出来ないっていうのもあったし、それで立ち止まる時間も欲しかったし。そのくらいのタイミングで個人的な理由があって、ちょうど2年ほどあんまり街中に出てこない期間があって。2016年くらいからかな。結婚や子どものこともあったし、少し大人しくしてたんやけど諸々片付いた部分もあって、そろそろやろうかってなったわけ。あとは釣りばっかりしとったな(笑)

E:SHOさんは周りはあまり関係なかったよ、ってサラッと言っていましたが、傍から見ているとやっぱり色んな状況がもどかしく見えてたり、思うところはあったんじゃないかなって・・・勝手に見てしまってただけかもしれませんが、実際のところどうだったでしょう?

S:それはちょっと勘ぐり過ぎかな。基本的な姿勢としては”やってない奴はやってる人間に口出すな”っていうところがあるから。俺自身も言われたくないタイプやし(笑)ぶっちゃけ今やってるバンドや界隈のシーンに対しての思いは何もなかったかな。シンプルにみんな頑張ってるなぁっていう。もっかい俺もやり出したら、あのバンドとやりたいなぁとか。そんな感じ。


E:ピュアなところですね(笑)

S:そうそう(笑)

U:でも復活してどうですか?もっかい同じ土俵に立つわけじゃないですか。また見え方が変わったりするのかなと。

S:いや、やってみたら思うことはあるよ。言葉は選ぶけど、進化のスピード・・・みたいなのが皆ちょっと遅くなったかな?とか。逆に言えばあのバンドがこんななるんや、っていう良い驚きも勿論あるし。止めてみて気付くことっていうのは当然あるかな。まぁ例えばやけど、最近SMDも呼んだりしてるナーバス(nervous light of sunday)とかな。長いことバンドやってみるもんやなぁ、今になってメッチャクチャええライブするやんか(笑)

U:確かに今になってピークきてる感じあるっすね(笑)

S:結成して何年かわからんけど・・・なんであれを結成5年目くらいの時に出来ひんかったんやっていう(笑)むしろ今の方が衝動を感じるライブするくらいやんか。ああいうの見てると長くやってみるもんやなぁとも思うし。言うたらEX-Cもそうやんか(笑)

U:まぁそうすね、今ピークかもっすね(笑)15年くらい死んでましたから(笑)

E:面白い巡り合わせですよね。

S:そういうのは傍から見てて面白いなと思うよ。ずっとピークみたいなバンドもおるし、波のあるバンドもおるし。でもpalmとかでいえば、予感があったわけよ。高橋(palmのVo.)とかが茶坊主の頃から見てたけど。
今の形になるのはむしろ時間がかかりすぎたくらいやと思ってる。
2005年にオーストラリアツアーへ一緒に行った時に、こいつらは凄いバンドになるって確信ができるようなライブをしてたけど、時間はかかった。そういうバンドもいる。んでさっきの話みたいに、ナーバスがこの歳になって、今みたいなライブができるようになるとは悪いけど正直思ってなかった。生き物やなぁとつくづく思う。だからこそ面白いんやけど。

E:今回復活して、エッジとしてはどんなビジョンを描いていますか?目標であったりとか、どう考えているのかなと思いまして。

U:ビジョン気になりますね。1回メジャーに行ったりもしてるわけじゃないですか。そういう気持ちがあったりするのかっていう・・・

S:それは(メジャーに行くとか)無いかな。もうそういう色気みたいなものは。
ただ、自分の意識として今までは外向きにバンドをやってきた。それは自分がどういうものを表現をして、それをどう人に見てもらうか、という事に重きを置いてた。
最初からそれは変わらんかったけど、それを一度リセットしようと思って。
もっと内向きにバンドをやりたいなと思って復活したというのが大きい。
外向きの部分は後からついてくるかなと思ってるところもあって。そういうスタンスに自分の心の内ではなっていて、これは大きな変化やったんやけど・・・2人ともキャリア長いんやし分かると思うけど、答えは結局シンプルやねん。良い曲を書いて、良いライブをする、これ以上でもなければこれ以下でもない。ただその道筋が少し変わったという感じやね。

U:昔のイメージではエッジはデカいところとか色んなところ・・・ハードコアにこだわらず、そうじゃないジャンルとかもガツガツ攻めてるような印象があったんすけど。

S:そう見られてることは多かったんやけど、俺らはどこにいってもめちゃくちゃハードコアとしてこだわってやってたかな。ハードコアじゃないところでどれだけ発揮できるかっていう、それしか考えてないくらいやったな。

U:当時は結構その感じでやるのキツかったんじゃないですか?今の方がまたゴチャ混ぜ感が出てきてやりやすくなってる気がして・・・

E:確かに最近少し揺り戻してるような印象はありますね。

U:僕とかはそういうとこに攻めていくエッジがまた観たいなって思っちゃうんすけどね。

E:ここら辺の話は僕も少し踏み込みたかったところですね。SHOさんはさっきのような答えを持ってるかもな、という予想もしていたんですが、でもこれだけのキャリアがあれば、当然周りの期待する気持ちやそれに近いようなものを感じることもあると思うんです。そういうのってどう受け止めてはるのかなって。

S:そこは・・・かわしてるかなぁ。今でこそpalmがハワイアン呼んだり、KiMがブラフマン呼んだりとか当たり前に交流があったりするけど、当時はそれが無かったからそうなればいいなと思って頑張ってやってたんよね。でも今はもうそれをやれる土台があるやん。それを自分たちがやらんでもええかなってなる。
ほら、俺そういう性格やん(笑)もちろん誘ってもらったら考えて答え出すけどね。今はもう少し純度を高めたいかな。HARDCORE界隈にいる若い子たちの嗅覚とか情報量とか、やっぱり凄いしな。何がイケてて何がイケてないかっていうような嗅ぎ分けとか。
今、そういうごちゃまぜの感じを作りたいという思いはないかな。
まぁもしそういう気持ちがあったら、今度のファンダンゴはあのメンツにはならんよ(笑)

edge of spirit ライブ写真
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