DAI:エガちゃんのハードコアの入り口は?

江頭:日本のパンクも聞いてたし今でも聞くんやけど、10代の後半にUKやUS、ジャパニーズハードコアを聞き出して、一旦日本のパンクバンド嫌いになってん。これは俺が目指してるパンクでは無いって。初期衝動や衝撃にやられたんやろね。

DAI:俺は速い=カッコいいだったから、名古屋にライブ観に行った時に、その当時俺にはビートダウンが受け入れんかったのよね。嫌いとかではなく、速いもの以外受け付けなかった。だからNICE VEIWやGAUZEはガッチリハマったね。まあそうやって色々聴く中、V.A. / FAR EAST HARDCOREのBLIND JUSTISE(ENVY)、BRICKBUTT、ヌンチャク、SWITCHSTYLEの速さのあるハードコアだったり、T.J.MAXXやWRESTLING CRIME MASTERもライブ観てカッコいいなってね!その流れでシバキンと大阪に「HARDCORE BREAKOUT」を観に行ってHALF LIFEが出とってね。音源では遅っそって思ったんだけどライブは痺れたね。完全にヤられた。

江頭:実はそのオムニバスの中で1番痺れたんがHALF LIFE。当時あのスタイルが俺の中のハードコアとリンクしてね。あの中で1番ワルい雰囲気を感じたのもあのバンド。あの頃は変化に対して怒りを覚えてしまうガキやったから、方向性がどんどん変わっていくバンドに対して、あーあのバンドは終わったとか勝手に言うてたもんな。バンドって変化していくものやし、進みたい道に行く時に「何か」を置いていく事も1つ、それをまだ理解できてなかった。

DAI:あのバンドは2枚目からダメになった〜とかね。自分らはまだ出してもいないのに(苦笑)そこから色々気付きだして、自分達のオリジナリティーを追求しだした。シバキンは既に南米の独特なハードコア、LOS CRUDOSなんかを聴き方向性を変えたいって話になってね。ハードコアに縛りなんてないんだから、日本語や英語でなくてイタリア語でやってみようかってなってね。そこからシバキンがイタリア語を学んで歌詞書き出したんだよね。

江頭:それは凄いよな!探求心の塊やな。それから今のバンドACUTEへの振り幅も凄いけど。

DAI:彼は天才だし努力家だと思う。俺がNOT A NANE SOLDIERS始める時もバンド運営はかなり苦労し、シバキンの運営力の凄さも改めて知ったよ。それからだんだんバンドを引っ張っていく愉しさに気付き始めて病みつきになっていった。

江頭:岡崎は面白い街やね!バンドの色も違うし、好きな事を好きな様に自分達で創り上げる。その中で岡崎のライブハウスCAM HALLが無くなったのはどういう感じ?

DAI:かなり大ダメージを受けた。他にもライブハウスはあるんだけど、俺にとってはCAM HALLって基準があったからこそ愉しめてた部分があるからね。

江頭:じゃあGYROとしてどうしていくの?今は浜松G-SIDE、西荻窪PIT BARでも企画してるけど。

DAI:GYROの中のターニングポイントとしては、コロナがあって配信ライブに参加して気付いたのが、まずは地元に来てもらうより、俺らが足を運んで「愉しい」場所を創ればいいと思ったのね。その流れで、G-SIDEもかなり厳しい状況ってのもあったから、KiMにも出てもらった企画を立ち上げた。それが今年で5年目かな。PIT BARも同じくコロナ禍で経営危機だったから、俺らが協力できる事はないかって事で企画を年1回は続けてる。その繋がりで地方にもライブしに行くようになってね。

江頭:先週広島でASPHALTと演ってたもんね!繋がりってあったの?

DAI:TOMORROWの時だね。NOT A NANE SOLDIERSの時は演ってなかった。

江頭:KiMが県外で初めて交流したんがASPHALTやねんな。だから付き合いは長いし、広島行く時は全部対バンするねん。仲は良いけど常に対バンしてる訳でもないし、離れてるから仲が悪くなったって訳でもない。でも対バンするってなったらやっぱり燃えんねんな!

DAI:旧友との馴れ合いじゃあなくて、初期衝動的な熱は生まれるよね!

江頭:バンドって友達でもあるけど、ライバルでもある。止まってるバンドは何も生まないけど、バンドって生き物やし進化し続けてたら、ぶつかる事もあれば繋がる事もある。人生に於いて、バンドやってる時間の方が多くなってきた俺から言わさせてもらうと、無理して仲良くする必要もないし究極、信用できるのはメンバーだけで他のバンドはライバルな訳やし。それが同じ夜を盛り上げたり、ツアー行ったりする事もある。でもあのやり方は全然違うねんとか、仲良い奴にこそ言える事もある。それも好きの裏返しの部分って所もあるんやけどね。

DAI:他のバンドが活動の方向性を変えたと感じるのは、自分達にも変化が生まれてるのかもしれないし、それは進んでいる証明なのかなと。これはやり続けていて、視野は広がったと思う。昔はメンバーに対して辛く当たる事も多々あったしね。

江頭:だから最近、1番に気を遣ってるのはメンバーやねんな。これもいい変化なんやと思う。俺は20代の時にメンバー20人ぐらい辞めていってるから。30代で辞める人数減ったけど、総数30人近くはいるかも。

DAI:THE KNOCKERSと同じぐらいじゃん!

江頭:一時期は超えてた時もある(苦笑)

DAI:今、THE KNOCKERSは全国にメンバーがいるもんね!

江頭:確かにメンバーそれぞれ人生があるから難しいのは分かるけど、俺としたら動きが少し鈍くなる事を天秤に掛けても、やっぱりこのメンバーでやるんだぜってのを見たいな。これはKiMも同じで俺だけがKiMでもなく、メンバー全員が責任も持てるしっていう関係性を大事にしたいねんな。

DAI:エガちゃんも最初はどんどんメンバーを変えていってたんだね。これも変化の1つだよ。

江頭:信用して任せると面白いって事。理想とは違うけど、違う角度からの感じやとKiMの曲はこうなるって愉しさに気付いてんな。今、創ってるアルバムは完全に構成だけやしね!人を信用して任せる事を30代手前でやっと覚えたわ!

DAI:俺が気付いたの40代だから、早い方だよー

一同笑

江頭:だから今、GYROのドラムがヒョウゴなんやもんね!

DAI:今は全部受け入れて、メンバーありきの発信源って形が取れる様に40代でなった。メンバー間のやり取りもだし、次の動きに対する作戦会議も大事なんだと6年経って気付いたよ。

江頭:マズイやん。ダイちゃんのバンドは10年周期やしGYRO後4年やん!

DAI:マズい。急がないと

一同笑

江頭:まあバンドで飯食ってる訳ではないから。もうちょっとドライでシビアなビジネスライクな部分があってもいいと思う時もあったけど。ホンマに好きでしか追求できないものを、人生で手に入れてしまったから、ここは最後まで探求者であるんやし。プライベートで怒る事はなくなったけど、喜怒哀楽を1番出してるのは全て音楽、ライブやし。この感情には正直でいたい。

DAI:俺はハードコアのエネルギーってのは、世の中に対しての不満や怒りが根源だと思ってるんだけど、40代で気付いたバンドの愉しみ方が、メンバー全員で愉しむって事を腹の底から言える様になったね!

江頭:身体はおっさんになったけど、気持ちは初期に近い感覚。結果なんかより今を創っていく工程を愉しんでる感じやわ。

DAI:今、KiMの企画イベントって何個かあるの?

江頭:単独で言うなら「武骨夜」レーベルでのイベントが「FxOxU rulerz」後、これは箱と共同企画になる「FINE THE WAY」こっちは優(KiM WB)テツヤ(THRH Vo)が企画立案で、俺がアドバイザーになる形やね。後、ある意味力入れてる企画があって3年ぐらい続けてるんやけど、1年間京都のライブバンドを観て、年末にそのバンドと対バンするって企画。俺がライブハウスに観に行って声を掛けるって形で平日とかも覗きに行くし、俺に気付いたバンドにしたら名物おじさんやけど、KiMってバンドを知らないバンドマンにしたら急に「一緒にライブをやらないか?」って声を掛けたら、単なる迷惑おじさんになるっていう。

一同笑

江頭:まあ個々のバンドにもアドバイスしながらね。俺、何してるんやろうって思う時もあるけど、やっぱりバンドが好き過ぎるんかな。

DAI:若い頃、ハードコアはこうでないと駄目って意固地になる部分が多かったけど、今はそれに対して意固地にはならずにバンドって愉しいなって事を変化の中で気付いたね。

江頭:今となればシーンって言うより、自分の中にパンクやハードコアが在ればいいやってぐらいになってるし。それより楽器を持って汗かいてるバンドマンの方が大事になってるかも。

DAI:やっぱり30代で気付くと違うね!達観しとるわ(笑)

江頭:好きな事やから取り入れる事もできるし、手放す事もできる。不思議とバンドマンでいてたら、バンドマンの感覚で素直にいれる。だから取り繕っても意味がない。そのまんまやねんな。

DAI:そこでムキになったり無理したりすると、自分で墓穴掘ってるだけな気がするしね。

江頭:岡崎だけじゃなくて何処でもだと思うんやけど、当然やり方も違うし、主義主張も違えば成り立ちも違う。でも同じ街で出会って同じ街で好きでやってたメンバーなんやから、リンクする瞬間は愉しみではあるけれど、そこはお互い譲れない部分ってものはある訳やし。今のバンドでの世界観を曲げてまで何かを譲る必要はない。それで辛辣な言葉なんかがあったとしても、もう一歩先の所にお互い進んで向かってる訳やし。だから周りが心配するより、愉しみに感じた方がいいと思う。俺はそう感じて愉しんでる。お手手繋いで仲良くってのは面白くないし、だから尖ったガキの部分は残していたい。

DAI:GYROはゼロから始めたバンドだから、最初の1,2年は苦労したね。バンドってのはこうだって決め付け過ぎてる部分があったからね。それが自分達のバンドを苦しめてるんだって事を気付いてから、メンバーの想いとかも理解できる様になった。メンバーに愉しさや刺激を与えられる様なライブを組もうとする流れで、俺1人では難しいからガッちゃん(BEYOND HATE Gt,G-SIDEオーナー)に協力してもらって、浜松イベントを始めたのね。イベントをやる中で、岡崎に近い部分を浜松、静岡シーンには感じた。

江頭:俺に取っては浜松も岡崎も第二の故郷みたいな感覚。俺らは東海にそれを感じる。浜松にも、岡崎にも、名古屋にも感じる、、、関西に感じる街が、、、ない。

一同笑

DAI:それが地方の魅力だと思うよ。俺もそこに魅了されとるから。だからあの浜松での企画は続けていきたいね。

江頭:G-SIDEには思い入れもあるし、ガッちゃんはHAMAROCKってメジャーやインディーズを含んだ大型イベントもやってるから、そのHAMAROCKからのお客さんがG-SIDEに来る形が見たいねんな。オーバーグランドとアンダーグランドの繋がる場所になったら、また新しい一歩に繋がっていくと思う。俺が現役でバンドやってる間にその「一歩」を見てみたいね!

DAI:岡崎に関しても、皆が進み始めて新しい岡崎に向かって進み始めてる。その動きが地方の人たちにも伝わってると思う。

江頭:元々ある三河のD.I.Y精神。足りひんものは自分達で創っていく。CiGの豊田WAONでのWESTOMPIN'(CiG & PIGMEET STRUT PRESENTS)って企画もエグいもんな!

DAI:俺らにとっては当たり前のようにやってたからね。やればいいじゃんって思うけど、それがどの街でやっても成功するかってのはまた別の話だしね。

江頭:どの街も今は次の「一歩」に踏み出してる時期やと思う。その次の場所に自分達のバンドが居れるのか、必要とされてるのかってね!

DAI:これから先GYROとしてどうやってアプローチしていくか、考えるのが愉しみで仕方ない。今やってる事に満足するんじゃあなくて、次の音源に向かって皆んなで作戦も立てとるし、海外へのツアーもこのバンド人生の中でもう一回はって考えててね!今やれる事を積み上げながら、自分の愉しいを海外でも広げたい。それに向かう道中で、いろんな出会いや周りからの刺激が自分の中に吸収されて更に次の「愉しい」に繋がり広がっていく。何年掛かるか分からんけど、絶対此処まではいく。それまではこの熱と脈は落ちないよ!


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